樹脂ホッパーは、工場やプラントにおける粉体・粒体・液体の搬送等に欠かせない製品です。そんな樹脂ホッパーの製作に求められるのが、溶接技術です。そこで、当記事では、ホッパーに用いられる代表的な樹脂材料から、溶接における注意点まで細かく解説します。
樹脂ホッパーに用いられる材料
樹脂ホッパーには、用途に応じて、様々な種類の樹脂材料が用いられます。ここでは、代表的な樹脂材料について解説します。
PVC(塩化ビニル)
塩化ビニルは、透明性に優れる上、切断、曲げ、溶接などの加工性も良好であるため、樹脂ホッパーの材料として最も多く用いられています。樹脂ホッパーであれば、まずはPVCの選定を検討すべきといえます。
PP(ポリプロピレン)・PE(ポリエチレン)
PVCの他には、PP・PEも樹脂ホッパーに用いられています。PP・PEは、耐薬品性に優れている上、摩耗性にも優れています。
>>PP(ポリプロピレン)の樹脂/プラスチック溶接におけるポイント
>>PE(ポリエチレン)の樹脂/プラスチック溶接におけるポイント
樹脂ホッパーの溶接における注意点
樹脂ホッパーの溶接は、単に材料同士を接合するだけでなく、ホッパーの性能や耐久性に大きく影響を与える重要な工程です。ここでは、溶接における主要な注意点について解説します。
厚み・角度の設計に注意する
ホッパーの設計において、樹脂シートの厚みと角度は非常に重要です。例えば、厚みが薄すぎるとホッパーの強度が不足し、変形や破損のリスクが高まります。一方、厚すぎると曲げ加工が困難になる場合があります。
また、ホッパー内部の角度は、内容物の排出性や滞留性に大きく影響します。粉体や粒体の種類、流動性などを考慮し、最適な角度を設計することが重要です。角度が不適切だと、内容物が詰まりやすくなったり、排出に時間がかかったりする可能性があります。
溶接工程を考慮して曲げ加工を行う
ホッパーの形状によっては、溶接を行う前に樹脂シートを曲げ加工する必要があります。三栄プラテックでは、長年のノウハウに基づき、設計図面やホッパーの形状に合わせて最適な曲げ加工を行います。下記にてその一例をご紹介します。是非ご確認ください。
つなぎ目の隙間をなくす溶接を行う
ホッパーを溶接する場合には、直線の溶接棒同士のつなぎ目で隙間が発生しやすいといえます。例えば、ホッパーの溶接部の長さが2mの場合、1mの溶接棒を2本使用することが一般的ですが、この溶接棒同士の結合部などは特に隙間の発生に注意が必要です。このような場合には、1つの溶接棒の溶接が終わった後、先の溶接棒の終わりとその後の溶接の出だしに注意を払い、しっかりと圧力をかけて溶接することで、隙間を無くすことが可能です。
溶接ビードを抑制し、内部を滑らかにする
ホッパー内部の滑らかさは、内容物のスムーズな排出に不可欠です。溶接後に残るビード(溶接時の盛り上がり)は、内容物の流れを阻害する原因となることがあります。どうしても溶接ビードが残ってしまう場合には、溶接後にビードを丁寧に除去し、滑らかな内面を実現する必要があります。
樹脂ホッパーの溶接事例をご紹介
塩ビ透明鋭角ホッパー

こちらの製品の寸法は直径500mm、高さ1300mm程度となります。本体はR曲げ加工にて製作しています。テーパー部分の角度が小さいため、先端部分のRがかなり小さくなっています。この場合はR曲げ加工では綺麗に曲がらないので、先端は簡易的な型で真空成形で作ったものを繋いでいます。単品の案件であるため、型費を抑える必要があり、通常アルミ製の真空成形型も人工木材にて製作しました。人工木材はアルミで製作するより面粗度が悪いため、透明製品で使用すると透明の表面がザラザラになり、透明度を損ねます。しかし、人工木材と塩ビの特性を熟知し工夫を凝らすことで違和感のない透明度を確保しております。
ポリエチレンホッパー

このホッパーは、高密度ポリエチレン(HDPE)を使用し、サイズは直径600mm、高さ500mmです。ホッパー部分は真空成形により一体成形され、フランジと出口部分は精密なNC切削加工を施しました。それぞれ異なる製法で作成した部品を溶接で接合することで、高い耐久性と精度を実現しました。熱加工を得意とした当社ならではの同業でもあまりない、真空成形技術と溶接技術と切削加工技術を組み合わせにより、お客様のニーズを実現いたします。
樹脂ホッパーの溶接なら三栄プラテックにお任せください
いかがでしょうか。今回は、樹脂ホッパーの溶接についてご紹介しました。三栄プラテックでは、樹脂の溶接を得意としています。「樹脂の溶接を検討しているが、委託先に困っている…」なんてお悩みがございましたら、お気軽に当社にご相談ください。