PE(ポリエチレン)は、優れた耐薬品性や絶縁性、柔軟性を持つ汎用性の高いプラスチックです。様々な分野で利用されていますが、その溶接には特有の注意点があります。本記事では、PE(ポリエチレン)樹脂/プラスチックの溶接における特性を踏まえ、溶接を成功させるための重要なポイントを解説します。
PE(ポリエチレン)の溶接性
他の樹脂材料と比較すると、PE(ポリエチレン)は溶接が困難な樹脂ではありませんが、溶接性には注意点があります。
加熱しすぎると、液体になる
PE(ポリエチレン)は、加熱温度が適正範囲を超えると、粘度を保ったまま軟化するのではなく、急激に液体に近い状態になります。このため、 溶接中に液状化してしまったり、狙った形状を保てなくなったりする可能性があります。
熱収縮が大きく、精度は期待できない
PE(ポリエチレン)は、他の多くの樹脂材料と比較して熱収縮率が大きいという特性があります。 溶接後に冷却される過程で大きく収縮するため、溶接部の寸法精度が求められる用途には不向きな場合があります。
ちなみに、あくまでイメージとなりますが、一般的に溶接に用いられる各樹脂材料の溶接性は下記の通りの関係となります。PE(ポリエチレン)は、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)よりも溶接性が良好といえます。
【簡単】 PET ≧ PVC >PE> PP > PC 【難しい】
ポイント①:はんだごてで仮固定する
多くの樹脂材料では、溶接前に溶剤を使用して仮止めすることがありますが、PE(ポリエチレン)は一般的な溶剤では溶解しにくいため、溶剤による仮止めはできません。そのため、 溶接前にはんだごてなどを用いて 溶接箇所を数点仮固定することが有効です。これにより、本溶接時の位置ずれを防ぎ、精度を向上させることができます。
ポイント②:溶接棒のコシがないため、押圧を適切にかける
PE(ポリエチレン)の溶接棒は、一般的にコシがなく、柔らかい傾向があります。そのため、圧力のかけ方によっては、溶接棒がたわんでしまい、接合部へ圧力がかからない可能性があります。接合部へ適切な圧力がかかるように試行錯誤しましょう。
ポイント③:溶接ビードの除去がしづらい
PE(ポリエチレン)は弾力が高いため、溶接時に形成された溶接ビードの除去が難しいといえます。弾力が高いからといって、金属ヘラなどを用いて無理に除去しようとすると、母材を傷つけてしまう可能性もあります。そのため、溶接ビードの除去には、回転工具やカッターを使用するなど、独自の工夫が求められます。
PE(ポリエチレン)の溶接事例のご紹介
ポリエチレンホッパー(PE溶接および真空)

このホッパーは、高密度ポリエチレン(HDPE)を使用し、サイズは直径600mm、高さ500mmです。ホッパー部分は真空成形により一体成形され、フランジと出口部分は精密なNC切削加工を施しました。それぞれ異なる製法で作成した部品を溶接で接合することで、高い耐久性と精度を実現しました。熱加工を得意とした当社ならではの同業でもあまりない、真空成形技術と溶接技術と切削加工技術を組み合わせにより、お客様のニーズを実現いたします。
PE(ポリエチレン)の樹脂/プラスチック溶接なら三栄プラテックにお任せください
いかがでしょうか。今回は、PE(ポリエチレン)の樹脂溶接についてご紹介しました。三栄プラテックでは、樹脂の溶接を得意としています。「樹脂の溶接を検討しているが、委託先に困っている…」なんてお悩みがございましたら、お気軽に当社にご相談ください。